- かし
- I
かし※一※ (終助)〔係助詞「か」の終助詞的用法に強調指示の副助詞「し」が付いてできたもの〕(1)文末にあって, 念を押し, 意味を強める意を表す。
「まことのうつは物となるべきを取出ださむにはかたかるべし~/源氏(帚木)」「われはこのごろわろきぞ~/更級」「そらに申し侍らば, 本草に御覧じあはせられ侍れ~/徒然 136」
(2)「さ」「いざ」などの語に付いて, 応答のことばとして用いる。「いざ~, ねぶたきに/源氏(若紫)」
※二※ (副助)〔※一※から転じて文中に用いられるようになったもの〕副詞に付いて, 意味を強める。「主の娘を勾引(カドワ)して, 淫奔(イタズラ)かわく学問は, なほ~聞きも習はぬと/浄瑠璃・袂の白絞」
〔※一■は, 中古にはかなり自由に用いられたが, 中世以降は, 主として「活用語の命令形+かし」「ぞ+かし」などの形で用いられるようになる。 ■二■は近世に現れた用法。 現代語では, 副詞「さぞかし」の「かし」に■二※の残存形が見られる〕IIかし【下士】(1)旧日本陸軍で, 「下士官」の旧称。(2)身分の低い武士。⇔ 上士(3)教養・品性の低い人。IIIかし【下肢】(人の)あし。 また, 動物のあとあし。⇔ 上肢IVかし【下視】見おろすこと。 見くだすこと。V「浮生の苦楽を~すべし/西国立志編(正直)」
かし【下賜】天皇など身分の高い人が身分の低い人に物を与えること。VI「杯を~される」
かし【仮歯】入れ歯。 義歯。VIIかし【仮死】意識がなく, 呼吸や脈搏(ミヤクハク)も止まるか, またはきわめて微弱で, 一見死んだように見える状態。 適切な処置により回復する可能性をもつ。 なお, ヘビ・カエルなどの冬眠現象にこの語を使うこともある。VIIIかし【可死】神話などで, 登場人物が不死身でないこと。IXかし【可視】肉眼で見えること。⇔ 不可視「~光線」Xかし【嫁資】嫁入りの持参金。 また, 嫁入り支度の費用。XIかし【家士】家に仕える侍。 家臣。 家人。XIIかし【家資】家の資産。 身代。 家産。XIII「~分散」
かし【枷】「かせ(枷)」に同じ。 [名義抄]XIVかし【樫・橿・櫧】ブナ科コナラ属の常緑高木の総称。 暖地に生える。 日本にはアラカシ・アカガシ・シラカシ・ウラジロガシ・ウバメガシなどがある。 葉は革質, 長楕円形ないし披針形で, 互生。 雌雄同株。 初夏, 雄花はひも状の穂について垂れ下がる。 秋にどんぐりを結ぶ。 材は堅く, 細工物などに用いられる。〔「樫の実」は ﹝季﹞秋〕XVかし【歌詞】(1)歌曲・歌謡曲などの歌の文句。(2)和歌に用いることば。 歌語。 また, 和歌。XVIかし【歌誌】短歌の雑誌。XVIIかし【河岸】(1)川の岸。 特に, 船の荷物の積みおろしをする岸。(2)川岸に立つ市場。 特に, 魚市場。 魚河岸。(3)何か事をする場所。 特に, 飲食や遊びをする所。「~を変える」
(4)「河岸見世」に同じ。XVIII「~の客, 八つを打ちて上るてやい/洒落本・通言総籬」
かし【瑕疵】(1)きず。 欠点。(2)法的に何らかの欠陥・欠点のあること。XIXかし【花糸】雄しべの葯(ヤク)をつけている柄。XXかし【花肆】〔「肆」は店の意〕遊郭。 遊里。XXIかし【菓子】通常の食事以外に食べる嗜好品。 砂糖・水あめ・餡(アン)などを加えた甘いものが多い。 古くは果実・草の実をいった。 今も果物を水菓子という。XXIIかし【華侈】はででぜいたくなこと。XXIII「~を好む」
かし【華氏】「華氏温度」の略。 カ氏。XXIVかし【課試・科試】(1)課題を出して試すこと。 試験。(2)律令時代に行われた官吏登用試験。 大学・国学の出身者と国司が推挙する者について行なった。XXVかし【貸し】(1)貸すこと。 また, その金品。(2)相手に与えて, まだ報いを受けていない利益・恩恵。 人に着せた恩。「仕事を回した~がある」「~を作る」
(3)「貸し方{(3)}」に同じ。⇔ 借り
Japanese explanatory dictionaries. 2013.